7月28日(月) AM5:45、小鳥の賑やかな合唱で目が覚めた。 AM6:30、朝食。150程の席が、ほぼ満席だ。我がツアー会社、トゥーカン(Toocan)の占有率は約25%である。今朝は各種フルーツが出ていたので、それをメインに攻め、大満足。今日から再び、高山病の薬を服用する。明日、高地のクスコに戻るためである。 AM7:15、カヌーに乗って、アマゾン・ジャングルへ出発。 AM7:30、少し行ったところで上陸。ここから歩行開始。当初は「長靴を履いて」とリーダーが言っていたが、乾期の今、森の中も水が殆どなく、トレッキング・シューズで十分であった。おまけに寒い日が4日も続いていて、冬服を着ていても、汗ばむことはない。ジャングルをトレッキングすると言っても、実感は里山の散策と言う状況である。 そういう中で、ガイドの説明を聞きながら、後に続く。 1、ジャングルにも低地ジャングルと、高地ジャングルがあり、マチュピチュは高地ジャングルにあり、この地域は低地ジャングルに属している。アマゾン・ジャングルには乾季と雨季しかなく、24000種の植物が生息している。 2、他の木に寄生して成長し、成長したら他の木を絞め殺してしまう植物をパラサイト(寄生植物)と言う。
3、ガイドが樹皮を削って見せてくれた。それは、ガーリック・ツリーと言ったが、木肌が赤く、幹の中が空洞になっていて、ニンニクの匂いがする。20m〜30mにもなる樹木で、様々な薬用として使われる。かつてはジャングルに住む妖術師が、これを使って病気を治していたと言う。
4、ターマイツ(シロアリ)の巣が木の中腹に見られた。オーストラリア大陸では、地上の至る所で見られたが、此処では木の上である。地上に作ったのでは、雨期になると水没してしまうからであろう。 5、スパイキー・ツリー。木の周りにスパイクの様に固いトゲが生えている。これで猿を寄せ付けないそうだ。木の中は空洞だと言う。 6、パーム・ツリー。つまり、椰子の木である。その木がこんなに硬いものだとは知らなかった。チェーンソーでは切れないし、ガイドが持ち歩いているダンビラでは、刃がこぼれてしまう。ガイドがダンビラの背でたたいて音を聞かせてくれたが、それは硬い石を叩いた時の音であった。 7、アイアン・ツリー。赤茶色の木で最高50mにまで延びるジャングルでは最も大きな木である。人の背丈当たりで変色していたが、それは、雨期の水量がそこまで達していた事を示すものであった。我々が、もし雨期に来たら、我々はこの辺りを船に乗って見て回るのであろうか。 8、パーム・ツリーの枝。枝を縦に割ると、そこから沢山の繊維が出現。ガイドはそれを巧みに編んでロープを作って見せた。このロープを太くしたり細くしたりして、種々の用途に使い分けるのである。 9、パーム・ツリーの種。この中から幼虫を捕りだして、試食をさせてくれた。その姿から、腰が引けたが思い切って挑戦したら、アボガドの味であった。特に美味しいとは思わないが、重要な蛋白源とは成りうる。 10、オクトパス・ルーツ。大木が、たこの足のように四方八方に根を広げている。これは、アマゾン・ジャングルの地下は、浅いところに硬い砂地があって、根を深く伸ばせない為に、横に広げているのだ。これは岩の表面を覆った薄い地層に生えている、屋久島の杉がそうであったのと同じ原理であろう。 11、パーム・ツリーの根。ガイドがダンビラで根の一部を割って見せてくれた。それは、象牙のように硬く、美しく光っていた。街ではこれを加工し、装飾品として販売しているそうだ。 12、パーム・ツリーの葉。ガイドは2つの枝葉を重ね、その枝から延びている葉を巧みに編んで、屋根として使えるよう作って見せた。更に、その葉から腰巻や冠を作って見せた。 AM10:00、池のあるラグーンで休憩。この辺りも雨季と乾季では景色が全く変わるのであろう。カヤックに乗って、ゆっくりと池を一周した。色鮮やかな鳥や、さほど大きくはないアナコンダ(蛇の1種)を、近くで見ることができた。 池のあるラグーン AM11:10、ラグーンを出発。乾期のアマゾン・ジャングルを歩くのに、長靴はいらなかった。4日続きの冷え込みの為、暑くもなく、低地の平らな所なので、アップダウンもなく、藪蚊が所々に居たが、虫よけスプレーの効果か、刺されもしなかった。 アマゾン・ジャングル・1 かくて、アマゾン・ジャングルのトレッキングは、屋久島の縄文杉見学コースに比べれば、まるで里山の散策並みに楽であった。勿論、此処は観光客が歩きやすいように、土盛りをしたり、橋を架けたりしてあるので、未開のジャングルを歩く事とは全く違うと思うが。 アマゾン・ジャングル・2 AM11:50、ロッジに帰着。 PM1:30、昼食。今日のメイン料理は、豆、米、チキン、漬け物等、種々の具材をバナナの皮で包み、それを蒸したもの。薄塩で料理されており、とても美味しかった。 バナナの皮で包んで蒸す メイン料理の中身 PM3:30、一旦自室に戻って休み、カイマン・ラグーンの見学に出発。昨夜、殆ど見つけることが出来なかった、カイマンが生息するラグーンへ行くと言う。30分ほど歩いた所にラグーン(小さな池)はあった。確かに10匹ほどいたが、いずれも小さく、すぐに見飽きてしまった。 ロッジの部屋 カイマン・ラグーン ガイドが池の近くで、餌の肉を叩き切っていると、1匹のカイマンが、恐る恐る周りを警戒しながら池から出てきた。そのカイマンが肉に近づき、一口加えるのを見ると、他のカイマンも池から這い出してきた。 3匹目までは餌にありつけたが、4匹目が餌場に来たときは、餌は食い尽くされて何も残っていなかった。1時間ほど見学してのハイライトはそれだけであった。午前中の見学で疲れていたので、わざわざ見に来るまでもなかったと思った。 1匹のカイマンが一口加える 3匹目までは餌にありつけたが PM5:30、ロッジに帰着すると、庭では色鮮やかな鳥が、餌をついばんでいた。自室にてポメラ・タイム。 色鮮やかな鳥 PM7:00、バイキング形式の夕食。特に食欲をそそる料理はなかったが、スパゲッティがあったので、それを中心に食べた。ノッポのスイス人女性、メラニーがテーブルに見当たらないので「どうしたのか?」と聞くと、「疲れて食欲がない」と言う。環境の変化に体調が付いていかないのだろう。 食事が終わる頃、ロッジのスタッフがチップを入れる紙袋を置いていった。ハイディが「ガイド達へのチップとして、一人50ソル(1800円)を目安にどうか」と言う。私は既に十分な料金を支払っているはずだし、それ以上のサービスを受けた積もりもないので、20ソル(700円)だけにした。 PM8:00、ポメラで日記を書く。 PM9:00、就寝。他の人達は酒盛りで盛り上がっているのであろう。相部屋の他の二人は、まだ戻ってこない。 夕食後、マラリアの予防薬を飲み、就寝前に高山病の予防薬を飲んだ。風邪も治っていないのに、他の薬を飲むのに忙しい。 7月29日(火) AM6:00、起床。 AM6:30、朝食。フルーツ(すいか、パパイヤ、パイナップル等、大した物ではないが)を多めに食べた。 AM7:00、モーター付きカヌーで、ロッジを出発。来る時は1時間15分を要し、帰る時は2時間を要した。これは、川下に行くか、川上に行くかの違いである。 モーター付きカヌーで カヌーの中で、隣に座っていたアドリアナと懇談。彼女はスイスの小学校で教師を始めて4年目。休職中は、給料は出ないが、半年間の休暇を取ってきたという。父親はイタリア人、母親はドイツ人。 彼女は、イタリア語、ドイツ語、英語、スペイン語、そして、フランス語を少々話せるそうだ。いずれもラテン系の言語だから、習得することが容易なのであろう。4人兄弟の長女。この旅行が終わったら、マイアミにいる彼氏に会いに行くという。どこまでも、日本人では考えられないお話でした。 AM9:00、船着き場着。 AM9:40、空港着。余りにも快適な気候で、しかも、受け入れ体制が整備されていた為か、却って物足りなさを感じた、アマゾン・ジャングルの2泊3日でした。 AM11:15、クスコ行きの飛行機が離陸。機体は横6人、縦14列の84人乗り。私の搭乗券には, 12Bと座席が指定されていたので、随分前の方だなと思っていたら、なんと後ろから3番目。それだけ小さな機体だったと言うわけです。 AM11:52、40分足らずでクスコの空港に着陸。クスコに入ったのは、アレキパから、マチュピチュから、オリャンタイタンポから、そして、アマゾン・ジャングルからと4回目になるので、すっかり見慣れた街になった。 AM12:30、ホテル着。3日前の夕方に預けておいた洗濯物を受け取りにフロントへ行くと、それが無かった。フロントの係りが出来上がってきた物の中から、一生懸命私の物を探しているが見当たらないのだ。 私が受付の内側を覗いてみると、見覚えのあるビニール袋があった。 なんと、3日前に私が頼んだままの状態で、そこに有るではないか。フロントの係りも呆然としている。連携の問題かもしれないが、目の前にある洗濯物を、3日間もそのままにしておくとは!全く基本が出来ていない。「何時出来ますか」と聞くと「今晩7時に出来ます」と言う。やむを得ず、私は頼み直した。 相部屋のジョシュアが「今晩は、オリビアの部屋で寝るから」と言う。今までも、どこで寝たのか何回か朝帰りがあったが、今日は宣言して出ていった。こちらとしては何の問題もないが、日本人としての倫理感からは、何か付いていけない物を感じてしまうのである。古い人間に成ってしまったんでしょうかねえ。それとも、単なる年寄りのヒガミかな? PM2:00、昼食に出かけ、ハイディに教えてもらった日本料理屋を捜し当てたものの、今日は独立記念の祭日とあって休業。残念。 前回食べて美味しかったトウモロコシの団子をアルマス広場で2個購入。2ソル。市場でマンダリン・オレンジを5個。1.5ソル。スーパーで、パン3個、牛乳1パック、水1ボトル。8ソル。合計11.5ソル(430円)。 薬局に寄って、唇の上に出来たヘルペス用に、軟膏を1箱購入。18.5ソル(700円)。ヘルペスは体力が落ちた時や、強い日光に当たった時に出来る。今回は油断して、常備薬を持参してこなかった。 PM4:00、ホテルに帰着。ポメラ・タイム。 PM6:00、妻に、ここまで書いた旅行記を添付して、メールを送る。 PM7:00、買い置きのパン、オレンジ、牛乳で夕食。余り食欲もないが、せっかくディナーに行っても、美味しくないので、参加する気になれない。 PM7:30、洗濯物を受け取りにフロントへ。クリーニング屋さんが、届けに来たばかりの様子でロビーにいた。6ソル(220円)。 PM9:00、就寝。 7月30日(水) AM6:40、起床。大寝坊!普段は早起きなのに、何時も大事な時にこうなる。7時にはプーノ(Puno)へ出発だと言うのに。言い訳を考えている暇もない。細かいことは抜きにして、兎に角大急ぎでパッキング。当然、朝食もなし。何とか出発に間に合わせる。 AM7:00、マイクロバスでホテル発。このホテルには、出たり戻ったりしたが、足かけ10日間お世話になった。特別良いホテルではないが、町の中心地、アルマス広場に近いことが取り柄であった。 AM8:15、クスコのバスターミナルで、2階建ての大型バスに乗り換えて、一路プーノへ。 両側を高山に挟まれた、片側1車線の舗装道路をどこまでも走る。バス車内にトイレがあるので、トイレ休憩もない。外の風景は赤茶色のモノトーンである。そう言えば、ペルーの写真は、町も、山も、村も、遺跡も、どれもこの色で、単調である。従って、写真集を見てもすぐに飽きてしまう。 アンデス山脈の一角に、時折光り輝いて見えるのは氷河だと思う。雪なら、頂上が白く覆われているであろうに、頂上は山肌が見えているのだ。日本の関東地方での感覚なら、冬季は2000m以上の山は、皆雪化粧をしている事が普通である。しかし、雨の少ないこの辺りでは、4000m位の山に雪はない。5〜6000mの山になって、時折目にする程度である。 車窓のアンデス山脈 舗装道路を走っていても、道の側に民家が有るところでは、スピードをスローダウンするように段差が造ってある。線路が見え隠れするのは、クスコとプーノを結ぶ鉄道だ。しかし、列車を目にすることは1度もなかった。 時々、牛や羊の群が車窓に見える。時には、我々の乗ったバスの直前の車道を、多くの牛が渡っていることがある。その時は当然、お牛様が通り終わるのを待ってから、我々は進むことになる。 AM12:45、昼を過ぎると、バスの中が暑くなってきた。今日のバスは「標高4000m以上の高地を走るので、寒さ対策をしておくように」との注意書きがあったので、私は完全防寒の出で立ちでバスに乗り込んでいる。ところがバスは止まらずに走っているし、室内は温室効果で気温が上がっている。人によってはTシャツ1枚になっている人もいる。私も既に3枚脱いだが、あと2枚着ている。 PM1:30、15分間のトイレ休憩。ノンストップで終点まで行くのかと思っていたら、さすがにそうではなかった。とは言っても、既に5時間以上バスに乗りっぱなしである。私はここの茶店で、アイスクリームと豆、9ソル(340円)と、ハンバーグ、10ソル(380円)を買った。ハンバーグは丁度良い昼食となり、美味しかった。 PM2:30、何処か分からないが、砂利道の町を通り抜けている。 PM3:40、約7時間半のバスドライブでプーノに到着。これだけ長時間だと、むしろ夜行バスの方が疲れないかも知れない。 プーノはチチカカ湖の湖畔に位置する町で、標高が3855m。クスコより更に高い。ボリビアとの国境の町でもある。住民の4割はボリビア人だと言う。町並みはクスコと似ているが、大きなチチカカ湖が町の半面にあるので、すり鉢状ではない。 空気は乾燥しているが、チチカカ湖が有るためか、クスコほどではないように感じる。しかし、酸素が薄い分、紫外線は強いようだ。そして、観光客の数もクスコに比べるとずっと少ないようで、町全体は落ち着いて見える。 PM4:00、ホテル・バルサ・イン(Hotel Balsa Inn)にチェックイン。 PM4:30、明日、チチカカ湖内の民家に3グループに分かれて宿泊する。私のグループは、ハイディ、ジョシュア、オリビア、それに私の4人。私たちは、その家に差し入れする食料を買い出しに市場へ。果物、野菜、そして子供へのお土産にするのか、サッカーボールを1個。費用は割り勘で、1人当たり15ソル(570円)。個人的な買い物として、ポンカン2個、水1ボトル。3.5ソル(130円)。 PM5:40、ホテルに帰着。 体調悪し。喘息気味の咳が続いて苦しい。高地故か、高齢故か。今日のディナーも辞退して、部屋でゆっくりする。夕食は、スナックとポンカンで済ます。日記を書く。 PM9:00、シャワーではなく、浴槽につかる。自宅の浴槽より、広さも深さも半分位しかなく、ましてや、洗い場はないが、久しぶりのお湯に体を浸す。膝を曲げても浴槽に入らないので、その部分は、お湯をかけて済ました。 PM11:00、明日からの「チチカカ湖、1泊2日の旅行」のパッキングをして就寝。 |