8月1日(水)曇り

午後、旅順市内へ繰り出す。目的は、2週間の留学を終えて、今週の土曜日に帰国する山口さんが「お土産を買いに行く」ことである。私はそれに便乗しただけ。

宿舎近くのバス停から旅順の町まではバスで約30分の道のり。途中から座れて、隣の中国人おばさんとコミュニケーションを試みるが、殆どだめ!メモ帳を取り出しての筆談になった。それでもなかなか通じない。同行していた高校2年生の磯君が、おばさんの漢字の間違いに気が付いて一件落着。「帯」と書くべき所を「代」と書いていたのである。中国人が書く漢字にも、結構いい加減なことがあることが解った。

           
             宿舎近くのバス停

バス代は往復で4元。この日の私の買い物は、2枚組のドラえもんアニメのDVDが10元。果物の皮むき用小刀は4元でした。帰宅してから解ったことは、購入したDVDが、DVD専用器では順調に再生できるのだが、パソコンではうまく再生できないと言うことである。中国の海賊版には、こんなこともあると話には聞いていたので、慎重に選んだつもりだが、結果として慎重さが足りなかった。誠に残念!

   
               旅順の中心街

夜は年に1度のビール祭りが大連で催され、留学生の殆どがそれに参加したが、私は午後の旅順行きで疲れてしまったのと、行ってもビールが飲めないので欠席することにした。

こちらに来て初めて長女の光子とスカイプ。孫の詩子は相変わらず乳首をくわえていた。元気そうで何よりだ。へその緒がうまく取れてなかったようで、若干の処置が必要であったとの事。無事を祈る。

8月2日(木)

昼食後、バンクーバーに居る、三女の伸子とスカイプ。元気そうだ。

PM2:00から「中国の文化に触れる一環」として映画鑑賞。出演者の顔色や振る舞いから、何となく話の流れは理解できるが、中国語の映画は、今の私には難しすぎる。

8月3日(金)一日中雨

PM2:00から、2回目の二胡のレッスン。音楽の専門用語を中国語で説明されても、聞いている私はチンプンカンプンで、付いていけずギブアップ。早くもリタイアする事を決めた。それにしても、最後に弾いて聞かせる先生の演奏はすばらしい。ここに来ている日本人の中には、中国語の授業には出席せずに、二胡の個人教授を受けている人もいると言う。

8月4日(土)晴れ

今日で来訪1週間になる。土日は授業がなく、土曜日は宿舎から大連市内まで無料のバスを出してくれる。私も初めてこれに便乗した。朝食後、AM8:30に出発してAM10:00に大連駅前着。若干の渋滞(いつもの事のようだが)もあってか結構時間が掛かるものだ。帰りはPM3:00に、ここを発車して宿舎に戻る。その間は自由時間となり三々五々散って行く。

   
                 大連駅

私は高校の歴史の教師で韓国語の通訳の資格を持つ、今給黎さんと共に、加智さんに付いて歩くことにした。加智さんは大連には何度も来ていて、まるで大連の住人のようだ。

まず、最初に案内されたのは、両替屋。とは言っても、行ってみると小さなハンコ屋さんで、両替を頼むと引き出しをあけて中国紙幣を取り出す。両替のレートは大連空港内の銀行より良かった。こう言うのを「闇の両替屋」と言うのだろうか。客にとっては少しでも得になる方が良いに決まっている。

次は鉄道線路の上に架かる勝利橋(旧日本橋)を渡って旧ロシア人街へ。確かにロシア風の建物が多く見られ、そこは土産屋街になっていた。どこの店にもロシアの代表的土産品であるマトルーシュカが並んでいた。

   
              ロシア人街

次に中山広場(旧大広場)を一周した。ここでは日本の統治時代に建築された、多くの建築物がそのまま使われていた。代表的なのは、大連賓館(旧ヤマトホテル)、中国銀行大連分行(旧横浜正金銀行・大連支店)中国工商銀行・大連分行(旧大連市役所)など10棟の欧風建築物が建っている。当時の日本が大連を完全に支配していた証が見事に残っていた。いずれの建物にも「日本侵略占領時期の云々」と書かれた小さな名版が張ってある。

   
            中山広場(旧大広場)

   
           大連賓館(旧ヤマトホテル)

   
       中国銀行大連分行(旧横浜正金銀行・大連支店)

   
         中国工商銀行・大連分行(旧大連市役所)

次に向かったのは大連鉄道局(旧満鉄本社)。想像していたより小さな建造物で、古くなった今は、記念館として細々と生き長らえていると言う風情であった。表玄関の扉は閉められたままで、「ご用件の向きは電話して下さい」旨の表示がされていた。満鉄で技師として働いていた実父も、一度はこの建物に足を運んだのではなかろうか。「昔の光、今いずこ」の感慨を抱いて立ち去るしかなかった。

   
            大連鉄道局(旧満鉄本社)

大連駅近くの中華レストランで昼食。せっかく大連まで出て来たのだから、日本食を食べたかったが、連れて行かれたのは中華であった。味もまずまず、量もたっぷりで50元也は確かに安かった。

昼食後、大連駅の裏側の様子を見に行き、人の多さに今更ながらびっくり。大連駅では切符を購入する為に長蛇の列が出来ていた。案内してくれていた加智さんは「これを見ると旅行をする気が無くなってしまう。切符で並び、列車で並び、観光地で並び、何処へ行っても人、人、人やから」と言っていた。

   
              大連駅の西側道路

3時にマイクロバスに戻った。帰りは渋滞もなく、宿舎へ着いたのは4時15分であった。気が付いたら日焼けして腕が赤くなっていた。

夕食後、今給黎さんと次の週末旅行の打ち合わせ。来週末は遼寧省の省都である瀋陽へ、再来週は北朝鮮との国境の町、丹東へ行くことになった。これは滞在期間が短くなってきた今給黎さんの希望を優先して決めた案である。

8月5日(日)晴れ

今日も休日。午前中に近くのスーパーで洗剤を一袋(2元)買ってきて、洗濯機を回す。乾燥機がないことが不便である。アメリカならキャンプ場にも、洗濯機と乾燥機があったのだが。一週間分の洗濯物を室内に干した。

昼食後、旅順の町へ出向く。目的は大連から瀋陽までの切符を購入すること。私にとっては2回目の旅順行きだが、今給黎さんは初めてだと言う。路線バスに乗って30〜40分の道程だが、不安がなくはない。

首尾よく旅順駅近くのバス停で下車する事が出来た。レトロな旅順駅構内に入ると、ここも切符購入の列が出来ていた。それでも、昨日目にした大連駅前の光景とは比較にならないほど、人の数は少ない。列を作って並んでいても窓口は1つしか開いてない。駅員も一人しか見あたらず、日本でならば、20年ほど前の古いパソコンに向かって、キーボードをたたいていた。

   
                旅順駅

今給黎さんは、昨晩検討して決めた「希望の列車番号」を紙に書いて窓口に出した。その後、二人のパスポートを提示して切符を買うことが出来た。瀋陽までの特急、座席指定券、往復、手数料5元を含めて合計179元(約2400円)。片道4時間半(400Km)の運賃にしては安かった!!

   
              旅順駅で切符を購入

   
              大連〜瀋陽の乗車券

本日の目的を果たした我々は、帰りのバスに乗るべく、散歩がてら始発駅まで歩くことにした。途中、旅順港の美しい景色を見ながら。ここは、2年程前までは一般の旅行者には解放されていなかったそうで、今でも場所によっては撮影禁止の所がある。

   
                旅順港

   
                旅順口

8月6日(月)晴れ

今日から3名が新入生。古川さん夫婦が千葉県市原から、2週間の予定で、三田さんが東京から1週間の予定である。古川さんは4年間のジャカルタ、4年半の北京駐在の経験がある方で、ご主人は中級、奥さんは入門コースである。三田さんは短期間ながら、何度か来られているようで中級コースである。

午前中の授業終了後、次回の授業から使うリスニング教材を購入。2冊+CD1枚で63元。部屋に戻って早速CDを聞いてみた。タイトルは入門編となっているが、現在の私にはちょうど良いように思う。これから5ヶ月間、頑張ろうとしている私のレベルに合わせた教材なのかなと思う。それと、このCD1枚には、5時間半もの録音が入っていてビックリ!こんなに長時間録音が出来ることに驚いている。

昼食時に、「皆で餞別をしよう」と言う話が提案された。4年間ここで我々留学生の世話をしてきた25歳の独身女性が、故郷に帰る事になったと言う。誰も異存無く、一人30元ずつ出すことになった。私も短期間ではあったが、部屋替えの時などに大変お世話になった人である。

   
               宿舎近くの海

    

私の部屋

8月7日(火)晴れ

午後、珍しく復習に頑張ったら、夕食後は眠くなってしまいウトウト状態。オリンピックの卓球女子決勝戦(日本対中国)をテレビで放映していたので応援するも日本の完敗。中国の壁は厚かった。しかし銀メダルの獲得は素晴らしい。

8月8日(水)晴れ

今朝突然、学校側から提案があった。つまり「今日の午後、旅順観光と夕食に招待したいので、希望者は参加してください」と。午前中の授業はきちんとなされるが、午後の予定は朝令暮改である。しかしこんなに条件の良い誘いに乗らない手は無い。ほとんどの日本人留学生が参加した。

午後2時に宿舎を出発し、最初の観光は蝶々博物館。温室の中では綺麗な花の周りを沢山の蝶が飛び回っていた。博物館に入ると、世界の珍しい蝶の標本が展示されていた。好きな人には好奇心をそそられる場所に違いない。

   
              蝶々博物館の入口で

   
                蝶の標本

次に訪問したのは関東軍司令部旧跡博物館(旧関東軍指令部)。関東軍司令部の様子が復元され、中国の民衆に加えた暴虐の限りが展示されていた。我々が生まれる前のことで、過去の歴史がまともに語られてこなかった我々世代は、過去の事実を突きつけられて、気持ちが重くなる事を禁じ得ない。

   
        関東軍司令部旧跡・博物館(旧関東軍指令部)

     
         関東軍司令部旧跡・博物館(展示室)

6時の夕食まで市内を散策して時間を調整。車の行き交う路上で、将棋やトランプに熱中している男達があちこちに見られた。招待された夕食は、しゃぶしゃぶの専門店。「中国にもこんなに美味しい物を提供する店があったのか」と思うような所であった。参加者全員が多いに満足して8時半に宿舎に帰着。

   
             しゃぶしゃぶで会食

8月9日(木)晴れ

木曜日の午後は、2時から映画の上映。今日は本木雅弘主演の日中合作映画「夜の上海」。字幕は中国語だが音声は日本語と中国語が半々。ストーリーは平凡で、映像も良くないが、中国語初心者の我々にも楽しめるようにとの配慮が伺えた。おかげで居眠りせずに済んだ。


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